国連人口基金事務局長トラヤ・A・オベイドからのメッセージ

2004年世界人口デーを迎えて

2004年7月11日

今日、この世界人口デーを記念することは、1994年におこなわれた国際人口・開発会議(International Conference on Population and Development, ICPD)の10周年を記念することでもあります。この歴史的な会議において、179カ国が、女性と家族の生活の質を向上すべく、保健医療、教育、清潔な環境、そしてリプロダクティブ・ライツ(性と生殖に関する権利)の普及に努めることを誓いました。

この10年間で大きな進歩がありました。今日、発展途上国に生まれた少女には、10年前と比べてより明るい人生展望が開けています。初等教育就学率は向上し、平均寿命も延びてきています。また、より多くの女性やカップルが、希望する子どもの数や出産間隔について決定権をもてるようになっています。HIV/エイズに関しても多くの国が対策をとるようになりました。

しかし、やるべきことは未だ多く残されています。中でも、安全な出産・母性の保護はより強化された対策が緊急に必要な分野です。今日、一分に一人の割合で、妊産婦の命が奪われています。出産および合併症による妊産婦の死亡が悲劇であるのは、そのほとんどが防ぐことができるからです。

こうした妊娠・出産に関わる死によって毎年52万9千人もの女性が命を落とし、家族に、コミュニティーに、そして地域全体に計り知れない喪失感を与えています。みなさん、どうぞ想像してみてください。母親の愛や支えがまったくない人生を。情緒面のみならず社会的・経済的影響は壊滅的なものです。なぜならそれはわたしたち一人一人に影響を及ぼすからです。

安全な母性とは、暴力や虐待そしてHIV/エイズの脅威から女性が守られていることでもあります。安全な母性を守るためには、すべての女性、少女がHIV/エイズの知識と感染予防策を身につけること、そして、男性がパートナーを支援することが必要です。同様に、ジェンダーに基づく差別や暴力の被害者である女性の人権を尊重していくことが必要なのです。HIV/エイズとともに生きる人々に対しては、薬品提供の努力を一層強めていかなくてはなりません。HIV/エイズの治療を受けるのは、それが女性の権利としてだけではなく、生まれてくる子どものためでもあります。HIV/エイズの予防と治療は、限られた医療環境しかない地域においても、すべての医療施設で受けられるものでなくてはなりません。

解決の糸口は見えているのです。10年前に、179ヶ国が国際人口・開発会議で「行動計画」を採択したそのときに、解決策は見出されているのです。「行動計画」でしめされた道は、多くの女性の生命を救うことだけではなく、よりよい未来に向けて個人のエンパワーメントでもあります。教育を受ける権利、性と生殖に関する権利が保障されることは「行動計画」の第一の目標であります。「行動計画」であげられた目標は、国連ミレニアム・サミットにおいて各国首脳が合意した目標を補完、強化するものであり、より公平で持続可能な21世紀の地球の創造をめざすものです。

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